道路はなぜ4m❓

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更新日:2021/07/24

カテゴリー: 不動産売却に関する記事


新しく建物を建築するときには、建築基準法の制限を受けることになりますが、その建築基準法には道路の定義があります。それは「道路」とは、建築基準法に該当する幅員4m以上のもの、というものです。

そして建築基準法に該当する道路で、その敷地が接している幅員が4mに満たなかった場合は、セットバックと言って、道路の中心から原則両側がそれぞれ2m後退して将来4m道路にしていきましょう、ということになっています。

道路はなぜ4m?

なぜ道路の幅員は『4m』以上と決められたのでしょうか。

「消防車等の緊急車両が通りやすいように」と聞いたことがありますが、本当なのでしょうか。
今回は道路の幅員はなぜ4mなのか、ということについて考えてみました。
道路はなぜ4m?

まずは、いつから道路幅員が4mと決められたのか、調べてみました。現在の建築基準法は昭和25(1950)年に施行されたのですが、これは大正9(1920)年に施行された市街地建築物法を引き継いだものです。この市街地建築物法が施行された当時「道路は9尺(この時は尺貫法を使っていて、9尺は約2.7m)」でした。それが昭和13(1938)年にこの法律が改正されたときに4mに変わったのです。

確かに防火対策の面からすれば道路が狭くて、木造住宅が密集していると延焼の危険が大きくなります。

また輻射熱(ふくしゃねつ:放射熱とも言います)の影響をなくす狙いもあったと思います。つまり距離が近いと1軒の家が火事になると、燃える火の輻射熱によって近隣の家に広がる危険が高くなるからです。
輻射熱

市街地建築物法が幅員4mに改正された昭和13(1938)年といえば、日中戦争の長期化に対処するため、政府に広い範囲の権限が与えらえた「国家総動員法」が制定され、戦時体制が更に強化された年です。空襲対策などを含めた延焼防止のためということもあったかもしれません。

それに交通事情も考えられます。昭和初期から急激に増えていた自動車の交通に対応するためには、2.7mの道路では、自動車のすれ違いができません。

更に、衛生上の問題も考えられます。木造住宅が密集していると、風通しも陽当たりも悪くなるので、道路を広げることによって、それを解消しようとした、とも考えられます。

しかし、これらは道路の幅を広げる要因ではありますが、4mの理由にはなりません。

4mで緊急車両の通行が容易かというと、例えばポンプ車が車幅約2.3m、はしご車に至っては約2.5mありますので、もし4mの道路を車で走っていている時に反対側からポンプ車が来たら、すれ違うことはできないでしょう。一般の自動車のすれ違いにしてもギリギリです。
消防車

緊急車両を通りやすくするためなら、もっと道路の幅員を広くするとか、4m道路は全て「一方通行」にするとか、しなければなりません。

防火対策にしても4mあれば輻射熱を防ぐのに安全であるというには、無理があるように思います。資料によっては、安全な距離は無風状態で火元の建物の軒高の2.5~3倍の距離と書いてあるものもありました。

木造住宅の密集地域では、延焼の危険の他にも通風や採光が悪く、防災上、衛生上の問題があり、自動車交通の面からも考えて、狭い道路沿いに建つ、いわゆる裏屋(うらや)をなくす必要があったと思います。ところが、建て替えの際には、道路を広げるために敷地の一部を道路に提供しなければなりません。建て替えをすることによって、大幅に土地や建物面積が減ってしまって、生活自体が困難になってしまうという問題が発生してしまいます。道路は広くしたい、でも建物の敷地は更に狭くなってしまう。道路幅員4mは交通、防災、衛生の面から決して十分ではないのですが、このような事情も考えて決められたことのような気もします。

すべての道はローマへ通ず

今回は、道路の幅員がなぜ4mと決められたのか、を調べたのですが、結局解決することができませんでした。

ところで、「すべての道はローマに通ず」といわれた古代ローマ帝国は支配した地域が広大になり、道路整備が国家の最重要課題になりました。馬や馬車、戦車は道路の両脇にそれぞれ3mの歩道を取って、歩行者を気にすることなく道路を通すことができたそうです。古代ローマにおける道路は支配した地域へ短時間で移動するための軍用道路だったのです。

この道路は、現在でも立派に通用する堅固なものですし、いまだに現役の橋もあるそうです。その古代ローマが整備した道路の標準幅員が4~5mだったそうです。

日本では法律を作るときにも、ローマ法を取り入れるなど、ヨーロッパの影響を大きく受けていますので、もしかすると道路の幅員4mというのも、影響しているのかもしれませんね。

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