トウリハウジング通信 2024年3月号

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カテゴリー: トウリハウジング通信

マンションの老朽化

今回は全国的な問題になっている老朽化したマンション(区分所有建物)に関する話題です。日本全国にある分譲マンションの数は2022(令和4)年末時点で、約13.6万棟、戸数にして約694万戸あります。そのうち建築されてから40年以上経過しているマンションは約126万戸になっています。当然、この数は年々増えていって、10年後には約260万戸、20年後には約445万戸になると予想されています。これらのマンションの老朽化が進むと、大規模修繕工事や給配水管更新工事或いは建て替えの話題が出てきます。しかし、2022年末までに実際に建て替えをしたのは300件弱、戸数では約23,000戸とわずかです。建て替えが進まない理由の一つは建て替えに関する法律が大きく影響しているのです。

「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」の存在

現行法では、マンションの建て替えには以下の要件が必要です。

①区分所有者数の5分の4(80%)以上の賛成
※区分所有者数:戸数10戸のマンションのうち2戸を所有している人が1人いれば区分所有者数は「9」になります。
②議決権の5分の4以上の賛成
※議決権:各区分所有者の専有部分の割合を指します。例えば、Aマンションの専有部分の面積の合計が1,000平方メートルだった時、区分所有者Bさんの専有部分の面積が70平方メートルなら、Bさんの議決権は原則「1,000分の70」となります。

マンションによっては、総会の時に委任状も含めて、出席自体が80%に満たないこともあるので、これをクリアして建て替えの議案を通すのはかなり難しいです。

そこで、新たな法改正によって、これまでの厳しい基準が緩和される可能性が出てきました。法務大臣の諮問機関である法制審議会の部会は、耐震性、防火性、外壁の安全性、給排水の衛生状況、バリアフリー設備の5つが一定の基準を満たしていないマンションについて、新たな要綱案をまとめ、安全性が損なわれる前に必要な対策を進めやすくする仕組みを検討しています。

★所有者の4分の3(75%)以上の賛成があれば建て替えられる
★所在等が不明な区分所有者は反対として現行法では扱われるところを、裁判所の許可があれば、所在不明の区分所有者を決議の分母から除外できる

法務省は最終とりまとめを踏まえ、今年の通常国会で区分所有法の改正案の提出を目指しています。

しかし、法律が変われば、マンションの建て替えが進むかというと問題点は他にもあります。

1.大きすぎる費用負担

マンションの建て替えには、1戸あたり1,000〜3,000万円程度の自己負担が発生するといわれています。最近の建築資材や人件費の高騰を考えるとさらに自己負担が増える可能性があります。資金の準備をしている人もいると思いますが、住宅ローンの他に、千万円単位の積み立てをするのはかなり厳しいのではないでしょうか。いくら賛成を3/4に変更しても、建て替え費用の負担が大きければ、やはり賛成は集まらない可能性が高いです。それよりもマンションの管理組合として、費用と工期が短くて、仮住まいの必要がないリノベーション工事で建物を存続させることを選択する可能性もあります。リノベーションなら既存の建物の骨組みを活かして、内装や設備のアップグレードが中心になるので、建設コストや設計費用を大幅に削減できるからです。

2.「既存不適格建築物」に該当する可能性

既存不適格建築物とは、建築したときの法律には適合していたのですが、現在の法律では、その基準を満たしていない建物のことで、違法建築とは異なります。マンションは、建築基準法や都市計画法・地方自治体の条例等さまざまな法律によって規制され、設計施工されています。しかも、法律や条例は時間とともに規制が厳しくなっているので、古いマンションが現在の基準に適合しないケースはとても多いです。たとえば、建築当時よりも容積率や斜線制限など建物の規模に関する法律が厳しくなっていれば、建て替えの際には現在の法律に則って建て替えなければならないので、建物の規模は小さくなってしまい、区分所有者は不利益を被ることになります。また、1981年5月以前の旧耐震基準で建てられたマンションは、建て替えとなれば、新耐震基準で建築しなければなりません。建築コストがその分だけ割高になって、金銭的な負担が大きくなります。

今回は、分譲マンションの建て替えに関する法律が変わる予定があるということで、老朽化したマンションの現状とその問題点を話題にしました。この問題は私たちにとって身近な問題であり、その解決に向けて、どのように法改正されていくか注目していきたいです。

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ももは小学校一年生。忘れ物が心配で、教科書やノートをランドセルに全部詰め込んで通学します。

ももが歩いていると同級生のかずま君に『ヤドカリみたい』と言われてしまいました。

ランドセルもパンパンで、両手にはうわばき入れ、絵の具セット、体育着や音楽バック・・・たくさんの荷物を持っていたからです。

編集後記

先日、弊社が売却のご依頼をいただいた築浅マンションが赤羽駅徒歩5分の場所にあります。この数年で不動産の価格は高額になってきて、そのマンションの販売価格も高額です。これは生活水準の向上や都心へのアクセスの良さなどが要因として挙げられます。赤羽駅周辺も例外ではなく、そのアクセスの良さから多くのお客様に注目されています。

売却のご依頼をいただいたマンションは築浅で、駅にも近く、赤羽LaLaガーデンや赤羽公園、赤羽岩淵中学校も近くて、とても便利な立地にあって、さらに陽当たりが良いのが特長です。快適な生活を送るための環境が整っていることは、購入をご希望の皆様にとって大きな魅力となるでしょう。

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