遺産分割協議、遺留分について(その1)

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平成27年1月1日以降の相続税の基礎控除額が、それまでの「5,000万+(1,000万×法定相続人の数)」から「3,000 万円 +(600 万円×法定相続人の数)」に変更になったことは、すでにご存じのことと思いますが、これによって相続税の課税対象になる方の数が大幅に増えました。

民法では相続のときの法定相続人と法定相続分について

  • 配偶者と子が相続人の場合は、配偶者が2分の1、子が残り2分の1
  • 子がいない場合は、配偶者が3分の2被相続人の父母が残り3分の1
  • 子も父母もいない場合は、配偶者が4分の3被相続人の兄弟姉妹が残り4分の1

とされています。

そして相続が開始してから3ヶ月、相続放棄や限定承認をしないと、被相続人(亡くなった方)が持っていた権利・義務を相続人が相続分に応じて共同で相続することになります。

つまり土地、建物、現預金などの財産が各相続人の持分に応じた共有の状態になるのです。この状態を解消させるためには、財産を各相続人に分配させる手続きが必要になります。

これを遺産分割といって相続人全員が同意すれば、遺産分割協議書でそれぞれ取得者を決めることができるわけです。遺産分割協議では必ずしも法定相続分で分ける必要はありません。協議をして、例えばすべての財産を相続人のうちの1人に相続させるということも可能です。ただし遺産分割協議書は相続人全員の同意が必要で、1人でも同意しない人がいた場合には、その遺産分割協議は無効です。

遺産分割はいつまでにやらなければならないという期限はありません。

ただし相続の開始から10カ月後に相続税の申告・納税の期限がありますので、それまでに遺産分割がされていなければ軽減の特例などの適用を一時的に受けられなくなり、また納税が遅れれば延滞税がかかる場合もありますので、この10カ月後の相続税申告期限を目安に遺産分割されることが多いようです。
不動産取引においては、相続登記がされていない謄本を見ることがありますが、遺産分割をしないでいると、いつまでも共有財産のままになってしまいますので、もし相続人に万一のことがあった場合には、相続人の相続人が遺産分割協議に加わることになりますので、複雑になっていきます。 (次回へつづく)