不動産取引における告知事項についてのガイドラインが策定されました

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更新日:2022/08/17

カテゴリー: 不動産の豆知識

国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)に関するパブリックコメント(意見公募)を開始しました。

不動産の取引をする際、過去に他殺や自死、事故死等があった場合には買主や借主に告知をしなければならないことになっています。

しかし、今までこの告知事項には明確な判断基準が無かったこともあり、告知義務違反を理由に多くの紛争が起きていました。

そんな背景があり、今回、国土交通省により告知の範囲などについて取りまとめた「ガイドライン」が新たに策定されました。

新しく策定された「ガイドライン」では、今まで告知事項と考えられていた「自然死」や「日常生活の中での不慮の死」については除外する方針となっています。

老衰、持病による病死などが「自然死」に該当します。
自宅における死因の8~9割が自然死であることや、判例においても自然死について心理的瑕疵への該当を否定したものが多いこと等が、告知義務がないとされた理由です。

自宅の階段からの転落や、入浴中の転倒事故、食事中の誤嚥などが「日常生活の中での不慮の死」に該当します。

これが買主・借主の判断に重要な影響を及ぼす可能性は低いと考えられることから「日常生活の中での不慮の死」についても告知義務から除外されています。

ただし、「自然死」や「日常生活の中での不慮の死」であっても、長期間発見されなかったり、臭気・害虫等が発生するような状態であった場合は、原則として告知をする必要が生じます。

いずれにしても、買主や借主が隣人から聞いて後で知った場合には、問題になる可能性があることを考えると、告知事項としてでなくても、伝えておく必要があるのかなと思っています。