トウリハウジング通信 2023年7月号

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遺贈

今回は、遺贈(いぞう)に関する話題です。自分に万一のことがあった時、お世話になった人がいるので、自分の財産を法定相続人以外のその人にも譲りたいと考えているとします。法定相続人(配偶者、子供、両親、兄弟などで権利のある人)が自分の財産を引き継ぐのは相続ですが、それ以外の個人や法人に遺言書によって自分の財産を譲る場合は、相続ではなく「遺贈」と言って、遺贈する人を遺贈者、遺贈される人または法人は相続人ではなく受遺者(じゅいしゃ)と言います。受遺者は誰でも指定できて、制限はありません。例えば、身の回りの世話をしてくれている人でも、NPO団体などの「団体」でも、学校や施設などの法人でも良いのです。

ここで注意しなければならないのは、法定相続人がいるにも関わらず、財産の大部分を遺贈した場合、配偶者や子供など一定の相続人には、亡くなった方の財産から法律上取得することが保障されている最低限の取り分があるということです。これを遺留分(いりゅうぶん)と言います。遺留分の権利のある相続人(遺留分権利者)は、配偶者、子供、子供がいない場合には両親などです。亡くなった方に子供も両親もいなかった場合は、兄弟が法定相続人になりますが、兄弟には遺留分はありません。遺留分というのは、遺留分権利者であれば自動的に取得できるというものではなく、遺留分権利者が請求をしなければなりません。まず遺留分を侵害された遺留分権利者と受遺者の間で話し合いをして、結論が出なかった場合、2019年7月1日以降に発生した相続については、遺留分権利者は受遺者に対して遺留分侵害額請求をして、侵害された金額を請求することができます。遺留分の請求権は、相続の開始及び遺留分を侵害する遺贈があったことを知った時から1年又は相続開始の時から10年を経過したときに時効によって消滅してしまいます。

因みに遺留分侵害額請求ができるのは2019年7月1日以降の相続と書きましたが、これは改正民法(相続法)が2019年7月1日に施行されたためです。それ以前に発生した相続については遺留分減殺請求と言って、遺留分の請求に対する取り扱いが異なります。改正前は遺留分を請求して、受遺者が侵害額の弁償ができない場合には、 対象の財産について、現物の返還を求められました。そうなると不動産などは遺留分割合に基づく共有になってしまい、権利が複雑になるという問題が起きていました。そのため、改正された相続法では、遺留分権利者は、侵害額に相当する「金銭」の支払いのみを請求することができる制度に変更されたのです。つまり、財産を返還するのではなく、金銭だけで解決することができるようになりました。

相続と遺贈による違いは不動産に関して言えば、以下のようなことがあります。

【所有権移転する場合の登録免許税】 ※固定資産税評価額に対して

  •  相続の場合:0.4%が課税
  •  遺贈の場合:2.0%が課税

【借地権付戸建だった場合の賃貸人承諾】

  •  相続の場合:承諾は必要なし  
    ※連絡しなくても良いということではありません。
  •  遺贈の場合:承諾は必要あり  
    ※賃貸人から承諾料(名義変更料)を請求される場合もあります。

ところで初めにも書きましたが、遺贈は遺言書によって法定相続人以外の人や法人に譲られるものなので、受遺者は遺贈者が亡くなってから、始めてその遺言書の内容を知ることもあるわけです。遺贈されるのが不動産だった場合、管理に費用がかかるとか、住まいから遠くて管理ができないとか、山林や農地などで利用ができないなど、受遺者にとって利用するのが難しい不動産という場合もあります。或いは遺贈されることによって、相続人との争いになるのを避けたい場合など、受遺者がその不動産を遺贈されることを受け入れたくない場合には、その遺贈を放棄することができます。受遺者が放棄した財産は、相続財産として相続人が遺産分割協議をすることになります。

トウリハウジング特選物件

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せきとりの一日をダイナミックな絵とリズミカルなしりとりで描かれた絵本。

せきとり、けいこに
      せいをだす

すごい なげわざ
    バッチリ きまる

次の対戦相手は誰なのか・・
かばに似た顔をしたかばのやま

 はっけよーい、のこった!


編集後記

先月、このトウリハウジング通信でリフォーム工事をした後に既存住宅瑕疵保険の検査を受けた足立区扇にある戸建のことを書きました。この戸建を販売するに当たって販売価格をいくらにしたら良いのか迷ったので、足立区にある不動産会社数社に電話をして聞いてみました。

販売価格を迷った理由は

①土地の形が路地状敷地(旗状の土地)で間口が2.25m、路地状部分が約20m(路地状部分だけで45㎡になります)ある全体で約140㎡強の土地であること

②フルリフォームをした築20年の木造2階建4LDKが建っていること

あまり事例がない物件で、自分でもこれくらいかな、という価格は出していたのですが、ある大手不動産会社に電話すると私が考えている価格より、約10%安い価格を提示されました。それ以外の会社でも査定価格にバラツキがありました。そこでまだリフォーム中だったこともあり、自分で考えていた価格で売りに出すことにしました。リフォーム工事が完成した頃に、価格を出してくれた大手不動産会社の別の担当の方がお客様を案内して下さいました。案内後に電話があって「ずいぶんきれいにリフォームしましたね。あの価格では安いんじゃないですか」と言われました。普段多くの不動産を見ている人でも今回の戸建は査定価格に差がありました。不動産の査定価格を出すのは難しいですね。