トウリハウジング通信 2023年6月号

公開日:

更新日:2023/07/02

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ネズミ侵入防止

会社で築年数が古い、鉄骨造のマンションの一部屋を数年前に購入しました。現況のまま引渡しを受けた後、浴室、キッチン、トイレを交換して、床の張り替えや専有部分の上下水管を新しくして、賃貸物件として所有しています。リフォームをしてから何年もしないうちに、マンション管理組合の理事長から「1階の部屋に水漏れしているので、対応してほしい」と連絡がありました。弊社が所有しているのは3階で、上下水管も新しくしたばかりでした。漏水したのは2階からではないかと思ったのですが、2階は誰も住んでいないとのことでした。さっそく現地へ行ってみると1階の部屋のキッチン天井から水がポタポタ落ちていました。

3階の賃借人のご了解をいただき、洗濯機の防水パンを外して床下を見たところ、防水パンの排水管に大きな穴が開いていました。賃借人は排水管に穴が開いているのを知らずに洗濯をしていた為、雑排水がそのまま階下に流れてしまったのです。2階の部屋は誰も住んでいなかったのですが、家財がありました。漏水は長期間に及んでいたようで、天井も一部落ちてしまって、家財や壁にはカビも生えていました。漏水の原因は排水管に使った材質にも問題があったのかもしれませんが、床下に入り込んだネズミが防水パンの排水管を齧ったと考えられます。

3階の防水パンの排水管を新しい管に交換した後、2階の部屋の所有者にお聞きすると、今後その部屋は利用する予定がないということだったので、弊社で買い取らせていただきました。
所有権移転して、残った家財をすべて処分してからネズミ駆除の専門業者に現地を見てもらいました。


日本で建物内やその周辺で生息するネズミは、大きく分けて3種類だそうです。大雑把に言えば大きいネズミはドブネズミ、小さくて天井裏をドタドタと走っているのはクマネズミ、郊外の倉庫などにいるのがハツカネズミだそうで、今回、防水パンの排水管を齧ったのはクマネズミのようです。クマネズミは雑食性で穀物を好みます。大きさは15㎝から25㎝で、重さは100gから200gほど。木や壁によじ登るのが得意で、配線や排水溝などを垂直に登っていくこともできるそうです。建物内に棲んでいることが多いのですが、都会では夜間に活動することが多く、警戒心が強いためほとんど人前に現れず、捕獲するのが難しいそうです。ネズミによる被害は、電気コードなどを嚙み切って電気災害を引き起こすことや、天井裏をドタドタと走る騒音の被害もありますが、クマネズミに寄生するイエダニやノミ、保菌しているサルモネラ菌などによる健康被害もあります。

屋根裏などの暖かくて安全な場所を見つけて棲み処にします。そこから外に出て餌を取ってはまた戻るということを繰り返すのですが、その際に通路になっている柱や壁に体が擦れた時に黒ずみができます。これをラットサインと言います。建物や部屋には1.5㎝程度のほんの僅かな隙間があれば侵入できるそうなので、壁の小さな割れ目や穴、エアコンの排水ホースや配管などを建物内に入れる導入部分の隙間、換気扇、ブレーカー、床下の通気口など出入口はたくさんあります。

専門業者に見てもらった結果、マンションの共用部分から各部屋へ出入りしているようなので、出入りしないようにするには共用部分から各部屋に繋がっている穴をすべて塞がなければ部屋と部屋の間の隙間から他の部屋に移動してしまうとのこと。そうなるとマンションの居住者全員の協力がなければできませんし、費用も高額になるので、その費用を誰が負担するのか、ということにもなります。結局マンション全体の駆除はできないので、2階の部屋だけでも、室内にネズミが侵入できないようにしようと考えました。壁、床、天井をすべて取り壊して何もないスケルトンの状態にして、ネズミが通りそうな隙間をすべて防鼠金網(ぼうそかなあみ)で塞ぐことにしました。防鼠金網はネズミが出入りする隙間に設置して、侵入経路を遮断するものです。金網にすればネズミが齧ることもありませんし、空気を通すこともできます。隙間の形状などによって、広げて張ることも、丸めて埋め込むこともできます。そして防鼠金網を張った後は、コーキング剤で止めます。そうすればネズミが防鼠金網を押して侵入することもできません。閉塞作業が終わった後に部屋を見ると、あっちにもこっちにも、防鼠金網が張り付けられていました。

トウリハウジング特選物件

お子様へ贈る 今月のおすすめ絵本(読物)

のろまなローラー
作 小出 正吾
絵 山本 忠敬
出版社 福音館書店

ローラーが重い車をごろごろ転がして、道を整備します。道を整備するのでゆっくり、じっくりと動きます。

【邪魔だよ、邪魔!】トラックはローラーを追い越していきます。【どいて、どいて!】笑いながら自動車がローラーを追い越していきます。

ごろごろ、ごろごろ、ローラーは何を言われても重い車を転がしながら道を直していきます。

編集後記

ネズミの閉塞作業をするのと同じくらいの時期にリフォーム工事をしていた中古戸建がありました。リフォーム工事が完了した後、既存住宅瑕疵保険の検査をしてもらいました。

新築戸建の場合、売主は法律で住宅の構造耐力上主要な部分や雨水の侵入を防止する部分の欠陥(瑕疵:かし)に対して、10年間の保証する責任を負います。そのため新築戸建を建てた売主は一定の金額を供託するか国土交通大臣から指定を受けた法人(保険法人)に建物の検査をしてもらって、保険に加入するか、どちらかを選択しなければなりません。

不動産会社が売主になって既存(中古)住宅を売却する場合は、宅建業法により少なくとも2年間の契約不適合責任がありますが、事前に保険法人が検査をして、品質が確認できた戸建については既存住宅瑕疵保険に加入することができます。

この保険に加入すると、構造や防水などの欠陥によって生じた損害を売主が修繕したときには売主に対して保険金が支払われますし、もし、その不動産会社が倒産していた時には、保険法人から買主様へ直接保険金が支払われるので安心です。さらに、一定の要件を満たせば、買主様が購入するときの登記料が安くなったり、住宅ローン控除を受けられる期間が長くなったり、という場合もあります。

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