トウリハウジング通信 2023年12月号

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2024年からの住宅ローン減税の条件

今回は、2024年から始まる住宅ローン減税の新しい制度についてご紹介いたします。(2022年の税制改正により、住宅ローン減税(控除)は2025年の12月31日まで延長になりました)

住宅ローン減税というのは今までもありましたが、マイホームを購入するために借りた住宅ローンの金利を所得税から差し引くことができる制度です。住宅ローン減税によって、住宅を購入する人の負担を軽減して、住宅の需要を喚起することを目的としています。しかし、2024年からこの住宅ローン減税を受けるには条件が加わります。その一つが【省エネ基準に適合した住宅であること】です。

省エネ基準とは、国が定めたエネルギー消費量の基準で、地球温暖化対策の一環として導入されたものです。省エネ基準に適合した住宅は、断熱性能や換気性能などが高く、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用するなどして、エネルギー効率を良くしている住宅です。2024年以降は、この省エネ基準に適合しない住宅では、住宅ローン減税を受けることができません。それは省エネ基準に適合しない住宅では、エネルギー消費量が多く、CO2排出量も多くなるため、環境に悪影響を及ぼすという理由からです。

国は、省エネ基準に適合しない住宅の建築を抑制して、省エネ基準に適合した住宅の普及を促進することで、2050年までに全ての住宅・建築物がZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準になることを目指しています。ZEHというのは、1年間で消費するエネルギー量とその建物で発電する再生可能エネルギー量が同じかそれ以上になるような住宅のことです。ZEHは、先の省エネ基準に適合した住宅よりもさらに高い省エネ性能を持ちます。省エネ基準に適合した住宅やZEH水準の省エネ住宅などを建てるためには、通常の住宅よりもコストがかかることから、その分を補うため、住宅ローン減税の上限額が以下のように設けられています。

 住宅ローン減税上限額
省エネ基準に適した住宅3000万円
ZEH水準の省エネ住宅3500万円
長期優良住宅や認定低炭素住宅4500万円

つまり国は、高い省エネ性能を持つ住宅ほど税制優遇措置を大きくすることによって、マイホームを購入する人に対して省エネ型の住宅を選ぶインセンティブ(動機)を与えているわけです。

先ほども書きました通り、2024年以降に省エネ基準に適合しない住宅を購入する場合は、住宅ローン減税を受けることができません。ただし、2023年末までに建築確認を受けている場合は省エネ基準を満たしていなくても、上限2,000万円の住宅ローン減税を受けることができます。これは、既に建築計画が進んでいる住宅に対しては、省エネ基準の変更に対応できない場合があるため、一定の猶予期間を設けたものです。そして2025年4月からは、すべての新築住宅・非住宅に対して省エネ基準への適合が義務付けられます。これは「省エネ基準の全面義務化」と呼ばれるもので、省エネ基準に適合しない住宅は建てられなくなります。つまり2025年4月以降に建築する住宅は、少なくとも省エネ基準に適合した住宅かZEH水準の省エネ住宅になります。 


今回は2024年以降の住宅ローン減税の新しい制度についてご紹介しましたが、ZEH水準の省エネ住宅や認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の住宅ローン控除額を引き上げているのは通常の住宅よりもコストがかかるためです。(建売住宅の建築費が上がり、販売価格にも転嫁される可能高いです)

価格が多少高額になったとしても、税金を節約するだけでなく、光熱費を抑えることができるメリットもありますので、省エネ基準に適合した住宅かZEH水準の省エネ住宅を選ぶこともひとつですし、控除の上限が低くい省エネ基準を満たしていない住宅を選ぶこともひとつです。ご自分にとって最適な住宅を見つけることができるよう、よく勉強する必要があります。

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編集後記

国土交通省の住宅関連データによりますと、日本全国の住宅ストック約5,000万戸のうち、今回の省エネ基準に適合している住宅は全体の約8%と考えられていて、約35%は無断熱、約37%が等級2レベルの無断熱に近いレベルの家とされています。

省エネ基準に適合している住宅は等級4レベルで、断熱材の他、従来の給湯器より少ないエネルギーで効率良くお湯を作れる高効率給湯器のエコキュートやペアガラス、二重サッシ、そして太陽光パネル等によって熱の損失量を基準値以下に抑えることが必要になります。

しかし既存住宅もそのすべてが住宅ローン控除に関して、省エネ基準を満たしていないわけではありません。上記のデータでは約8%ですが、その後も省エネ基準に適合した住宅が建築されていますので、建築年月が新しい建物であれば、該当する可能性はあります。

省エネの住宅になるには、「住宅省エネルギー性能証明書」を取得する必要があります。
「住宅省エネルギー性能証明書」は、①建築士事務所に所属する建築士、②指定確認検査機関、③登録住宅性能評価機関、④住宅瑕疵担保責任保険法人のいずれかが発行した証明書です。