トウリハウジング通信 2023年10月号

公開日:

更新日:2023/11/10

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太陽光発電設備設置の義務化

昨年(2022年)12月、東京都では全国で初めて新築住宅に太陽光発電設備(以下「太陽光パネル」)の設置を義務付ける条例が成立しました。ニュースなどでご存じの方もいらっしゃると思います。

東京都では温室効果ガス排出量を2030年までに2000年と比べて50%削減する「カーボンハーフ」を表明。その実現へ向けて再生可能エネルギーの利用拡大を進めていて、今回の太陽光パネルの設置義務化に関する条例はその一環ということになります。

設置の「義務化」といっても、すべての新築住宅に太陽光パネルを設置しなければならない、ということではありません。義務化の対象になるのは延べ床面積2,000㎡未満の住宅を含む新築の建物で、かつ大手住宅メーカー(年間都内供給延床面積が合計20,000㎡以上のハウスメーカー等で、東京都へ申請し、承認を受けた事業者)約50社。これらの事業者に太陽光パネルの設置を義務付けるものです。ですから、それ以外の建築会社が建てる新築住宅は義務化の対象外です。さらに大手住宅メーカーが建てる新築住宅でも、屋根の面積が20㎡未満の住宅や北向きの屋根など条件によっては、設置しなくて良い建物もあります。

太陽光パネル設置には以下ようなメリットやデメリットが考えられますが、義務化の対象にならない家でも太陽光パネルを設置する新築住宅が増えるかもしれません。

太陽光パネル設置のメリット

1.再生可能エネルギーの普及が拡大する
 太陽光パネルは、石油や天然ガスなどの化石燃料を使わない、脱炭素社会
 の実現に貢献します
2.温室効果ガスの排出が減る
 二酸化炭素などの温室効果ガスが出ないので、温室効果ガスの排出量を削
 減します
3.設置した家では電気代を節約できる
 太陽光パネルで発電した電気を自宅で使えば、電気代値上げの影響は受け
 にくく、毎月の光熱費を削減できる可能性があります。さらに使いきれな
 かった電気は売電できます。
4.災害時にも電気を使うことができる
 自然災害や電力がひっ迫して停電になった時でも、災害で太陽光パネルや
 分電盤などが壊れていなければ発電します。災害時にスマートフォンやテ
 レビ、冷蔵庫などが使えるのは大きなメリットです。

太陽光パネル設置のデメリット

1.住宅を購入する人の初期費用が増える
 これについては、東京都は住宅メーカーや施主に対して、太陽光パネルを
 導入しやすいように補助金の拡充と維持費用の支援を検討しています。
2.住宅価格が高騰する可能性がある
 太陽光パネルの設置義務化によって、価格の高い都内の住宅がさらに高く
 なって、住宅を買うのが難しくなる心配があります。住宅と太陽光パネル
 を同時に購入する場合、住宅ローンの中に太陽光パネルの費用も含まれる
 ので、新たな費用は発生しませんが、予算がオーバーして他の住宅設備の
 グレードを落とさなければならない、ことも考えられます
3.定期的なメンテナンスが必要になる
 一般的な住宅では定期的に屋根に上がって掃除をする必要は、ほとんどあ
 りませんが、長期間安定した発電を保つためには定期的なメンテナンスが
 必要です。太陽光パネル自体は故障することは少ないのですが、発電設備
 の中には、パネルより寿命が短いものもあるので、途中で交換しなければ
 なりません。また大雨や 台風といった自然災害で太陽光パネルが被害を
 受けて、故障するリスクもあります。

 

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編集後記

太陽光パネルの設置義務化によって、初期の設置費用がかかり、建築費用が高くなることが問題点のひとつになっていますが、この太陽光パネルの初期設置費用を抑える方法があります。その方法は大きく分けて、電力販売屋根貸しリースです。

電力販売
 電力販売は、住宅に事業会社が太陽光パネルを設置して、そこで発電され
 た電気を契約者(住宅の所有者)が購入して使用するという仕組みです。
屋根貸し
 屋根貸しは、事業会社が屋根を借りて、住宅に事業会社が太陽光パネルを
 設置し、販売します。契約者は屋根を賃貸して、その賃料を受け取る仕組
 みです。
リース
 リースは、契約者が事業会社からリースを受けて住宅に太陽光パネルを設
 置し、その対価としてリース料を事業会社に支払う仕組みです。

上記の方法は、どれも事業会社の費用で太陽光パネルを設置しますので、太陽光パネルは事業者のものになりますが、初期費用は抑えることができます。

太陽光パネルを設置する際の参考にして下さい。

ところで、はじめに書きました通り、太陽光パネルの設置義務は、2025年4月以降に建てる義務化の対象になる新築住宅で、既存住宅は義務化の対象ではありません。太陽光パネルの新制度に関連づけて、既存の住宅の調査等を行う必要があると偽る事業者が既にいるそうです。ご注意ください。