トウリハウジング通信 2025年7月号

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分譲マンションの自主管理方式

弊社では築年数が古い自主管理のマンションの部屋を所有しています。ふとしたきっかけから、そのマンション管理組合の理事に立候補することに(総会後の理事会で理事長に選任)なりました。自主管理のマンションでは、たくさんある問題を理事会で解決していかなければなりません。管理会社に委託すれば?思っている方もいらっしゃると思いますが、経済的な問題でなかなか他の組合員の賛同を得ることができません。今回は分譲マンションの自主管理方式について考えてみたいと思います。

マンション管理組合の自主管理方式について
~管理会社に委託することの違いとそのメリット・デメリット~

マンションの運営方法には大きく分けて「自主管理」と「委託管理」の2つの方式があります。自主管理は、外部の管理会社に委託するのではなく、区分所有者自らが管理組合を立ち上げ、マンションの運営や維持管理を行う方式です。管理費用の削減や住民間の連携強化が見込めますが、専門知識や労力の負担が大きくなる場合もあります。自主管理と管理会社による委託管理の違いを明確にして、それぞれのメリットとデメリットについて考えてみます。

自主管理とは、マンション管理組合の組合員(区分所有者)が主体となり、専門の管理会社に頼らずに日常の維持管理やトラブルの対応、将来に向けた修繕計画まで組合員が運営するシステムです。マンションの区分所有者同士が選出された役員や委員会を結成し、建物の管理、清掃、設備点検、さらには法令遵守のための知識習得に努めます。この方式では、外部への委託費用が不要になる分、管理費用の一部を抑えることができる経済的なメリットがあります。また、区分所有者間の情報共有や意見交換が行われれば、マンション全体の意識向上や連帯感が生まれるというのも大きな特徴です。

2 管理会社による委託管理との違い

管理会社による委託管理は専門業者が一括して業務を受託し、効率的かつ安定した管理運営を行う方式です。業務内容は、定期清掃、修繕計画の策定、緊急時の対応、住民からの問い合わせ対応など多岐にわたります。管理会社は専門知識と経験があるため、法令遵守はもちろん、トラブル発生時の迅速な対応が期待できますが、手数料や管理費用が上乗せされるため、当然、経済的負担が増えます。また、外部のプロによる管理では、住民の実情や意見が十分に反映されにくく、マンションの住環境に対する柔軟な対応が難しいケースも考えられます。

3 自主管理のメリット

管理会社へ支払う委託費用が不要になるため、長期的に見ると経済的負担が軽減される可能性があります。特に規模が小さいマンションや住民間で協力体制が整っている場合、余剰資金を修繕積立金として内部で回すことができ、将来的な大規模修繕に充てることが可能です。

外部業者に委託すると、判断に時間がかかる場合がありますが、自主管理ならば区分所有者間で状況に応じた迅速な意思決定が可能です。実際に地域の特性や住民のニーズに合った運営手法を採用しやすい点は大きな魅力です。

4 自主管理のデメリット

自主管理を進める上で、建物の劣化状況の把握や法令に関する知識が不足すると、適切な管理や修繕計画の策定が困難になるリスクがあります。住民の中で専門家が不在の場合、外部アドバイザーを招く必要が生じ、結果的にコストが増大することも考えられます。

全ての管理業務を理事会で行うため、役員や積極的に関わる住民への負担が大きくなる可能性があります。特に、日常の雑務や急なトラブル対応に関しては、限られた人数に負担が集中してしまい、マンション全体の運営が停滞する危険性もあります。

管理組合内では、全員の意見をまとめるプロセスが必要となるため、迅速な対応が求められる場面では時間がかかる場合があります。意見の対立や調整の難しさから、結果として適切な判断が先送りされ、問題が長期化するケースも見受けられる点は注意が必要です。

5 自主管理導入のポイントと成功の秘訣

自主管理方式を導入する際は、まずマンション全体の状況や住民の意識調査を行うことが大切です。管理組合の組織体制を整え、定期的な研修や情報交換会を開催することで、必要な知識や対応策を共有する環境を整えます。また、外部の専門機関やコンサルタントからの助言を受けながら、必要に応じて、部分的な業務を委託するハイブリッド型の管理方法を採用するのも良いと思います。専門知識の不足を補いつつ、住民主体のメリットを最大限に活かすことが可能になります。そして、理事会の透明性の高い運営と定期的な情報公開が、組合員全体の信頼を高め、管理活動の円滑な実施につながります。成功を収めているマンションでは、会計報告や問題発生時の対策会議など、全ての活動が記録され、全住民が参照可能な体制が整っています。これにより、万一のトラブルにも迅速で適切な対応が取れる環境が整うことになると思います。

お子様へ贈る 今月のおすすめ絵本(読物)

地下室の日曜日 
-ゆめのこうきゅうマンション-

作:村上 しいこ
絵:田中 六大
出版社:講談社

せんねん町のまんねん小学校。
一階の一番西側の階段、一番下の段を左足のつま先でコンコンと三回蹴ると地下室へ降りていく階段が現れます。まんねん小学校の地下室にはおばけたちが住んでいる部屋があります。

トウリハウジング特選物件情報

編集後記

今回は、分譲マンションの自主管理と委託管理のメリットとデメリットについて考えましたが、弊社が理事長に選任された自主管理のマンションについて言えば ・管理費の長期滞納 ・区分所有者と連絡が取れない空室 ・専有部分から共用部分への漏水 ・水道管直結工事の不良など、問題が山積していることは分かっていました。それでも理事に立候補したのは、弊社が所有している部屋も含めて、マンションの部屋の約8割が外部オーナーで、その多くが管理組合の運営に無関心なこと、マンションに住んでいる所有者が少なく、しかも高齢化していること、これだけ問題があっても頑張れば何とかなると思っていたことがあります。実際に理事長になったのは6月なので、まだ約1ヶ月しか経っていませんが、少しずつ前に進んでいるものもあります。しかし、まだ出口は見えません。管理費・修繕積立金が潤沢にあれば解決できるものもあると思いますが、資金不足も問題の一つです。現在、自主管理マンションを運営している理事の皆様は、どのような課題をお持ちですか?また自主管理について、具体的な運営方法のアイデアがありましたらぜひお聞かせください。